
最近話題の、「卵子凍結」ってなあに?
2013年8月23日、日本生殖医学会が、未受精の卵子を凍結保存(卵子凍結)することを、独身女性にも認める、とした指針案を示しました。
また昨日2015年2月5日、浦安市が順天堂浦安病院において行う卵子凍結費用の一部負担を検討していることが報道されました。
まず、これまでは、原則、卵子の凍結は、不妊治療において婚姻関係にある夫婦の受精卵を凍結保存することと、今後がん治療などで卵巣機能が損なわれる可能性がある場合に日本産科婦人科学会によって認められており、まだ独身女性の卵子凍結は完全なゴーサインが示されたわけではありませんが、同学会は容認しています。
もちろん、これらに法的な規制は、未だに何ら整備されていません。
卵子は女性の卵巣に生まれつき備わっており、毎月少しずつ消費されて成熟した状態で排卵され、配偶者との精子と受精すると受精卵となり、やがては赤ちゃんになるわけですが、高度生殖医療においては、様々な理由でご主人との受精卵を凍結保存しておくことがあります。
しかしながら、高度生殖医療の技術を用いるのは、戸籍上の夫婦関係にあることが大前提で、つまり未婚女性の未受精卵子はその技術を用いる対象外となっていたのです。
では、現代の女性の状況はいかがでしょうか。
男女雇用機会均等法施行以降、施行以前と比べて、格段に女性の地位は向上し、社会的責任、地位もご自身のお母さまやお祖母さまの世代とは大きく異なっているのではないでしょうか。
男性と同じく就職し、或いは同期の男性よりも重用され、給与面でも大きなものを手にしている女性もいらっしゃるかも知れません。
就職してから十数年、直向きに会社のため、社会のため、そして自身のために走り続け、そろそろ伴侶に恵まれ、或いはいい機会だと子作りに前向きになった方は?
しかし、女性の生殖能力、つまり子どもを作る能力は、平均的に35歳以降は明らかにそれまでと異なってくる、端的に申せば老化してくることをご存知でしょうか。これは貴女も例外ではありません。
卵子・卵巣の老化は、こちらのブログでもこれまで度々触れてきましたし、最近ではメディアでもよく取り上げられるようになったため、とても注目されています。
さて、皆さんが今すぐに妊娠を考えられる、子作りすることが出来るのであれば、卵子凍結は関係ないことですが、まだパートナーに巡り会えず、数年の単位で妊娠は直ぐには望まない場合、現在の卵子を将来に備えてとっておく、これが「卵子凍結」です。
繰り返しますが、現在のご主人との間とのお子さんを、将来的に考えるのであれば、精子と卵子を一つに受精させた、受精卵凍結、これは今の高度生殖医療でも行われることです。
現在前のページに書いたように、日本生殖医学会が指針「案」をまとめているところで、広く意見を募っています。
その実施要件として、
・40歳以降には勧められない。
・使用して妊娠を試みるのは45歳以上は勧めない。
とあります。もちろん今後この要件は改められていく可能性もありますが、産婦人科クリニック さくらでも、41歳以降の妊娠率が非常に低下していますし、45歳以上の高齢妊娠、出産のリスクは、母体の生命さえ左右しかねません。
要約すると、潜在的な社会的ニーズは大きく、いよいよ自治体が主導して卵子凍結が本格化する可能性が高くなってきました。