桜井 明弘 あなたが33歳を過ぎて妊娠できない44の理由

毎月、左右交互に排卵?

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排卵に関する誤解はいくつかありますが、誤解というよりももはや都市伝説的に多くの人が信じてるのが、

 

「排卵は左右の卵巣から交互に起こる」

 

というもの。実際に診察室でも下記のような質問をいただきます。

 

「今月右だったから、来月は左ですよね」

「先月、左の排卵痛だったのに、今月も左に排卵痛。右の卵巣はどうなっちゃたの?」

「私は右の卵巣を失い左の卵巣しかないので、排卵は(つまり、生理も?)2ヶ月に1回ですね」

 

一体いつ、誰が排卵は交代性、といったのでしょうか。

 

もしかしたら医学書や産婦人科の成書(医師の教科書)のどこかに書いてあるのかもしれません。

 

ネットや婦人科を取り扱う雑誌、はては不妊治療の特集や雑誌にも書いてあるでしょう。

 

なぜ誰もこれを否定しないのでしょうか。

 

排卵は、数万から数百万の原始卵胞の中で、黄体期(高温期)に次の周期に排卵する「候補生」が決められます。

 

この数、20から30個と言われています。さらに月経期に至り、下垂体からのFSH(卵胞を育てるホルモン)分泌に反応する

 

卵胞(卵子が入っている袋で、卵巣の表面に出来ます)の中でもおそらく最も優れた卵胞が一つ育ち、主席卵胞と呼ばれるのです。

 

排卵は、自然周期でも月に一つではないことがあります。多くはないのですが、2つ排卵することも。3つはほとんどないでしょう。

 

さらに排卵誘発剤を用いると複数の卵胞が発育、排卵にいたりますが、この2つ目以降の卵胞は、上にあげた「候補生」の2番目以降の卵胞です。

 

つまり、「候補生」がランダムに左右の卵巣から決められ、さらにその中からランダムに主席卵胞が選択されるため、

 

排卵する卵胞は左右限られず、ましてや交代性に起こるなんてありえない現象なのです。

 

皆さんずっとそう思わされていますが。

 

生殖医療で通院されている方は、この現象は身をもって体験されているでしょうから、よく理解していただけると思います。

 

ちなみに片方の卵巣を摘出されたあと、残った一つの卵巣は、毎周期「候補生」を作り、その中から選ばれた一つの卵胞が、毎月排卵します。

 

どちらで排卵してもあまり変わりない、という方もいらっしゃいますし、どちらかの卵巣で排卵しないと妊娠しにくい、といわれている方も居られます。

 

このような「都市伝説」「ちょっと聞きたいこと」などが聞けるイベント、3月3日に開催いたします。

詳しくはこちら

 

sakurai.dr

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桜井 明弘

桜井 明弘産婦人科クリニックさくら 院長

投稿者プロフィール

2007年4月に横浜市青葉区に産婦人科クリニックさくらを開業、地域の女性のライフサポートを信条とした診療と、体外受精など高度生殖医療も行う不妊治療を柱にしてきました。

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