かわいい名前の「チョコレートのう胞」ってどんな病気?
- 2016/1/25
- 医療

その愛らしい名前に1度聞いたら忘れない病名「チョコレートのう胞」。
卵巣に内膜症病変が発生し、卵巣の中に血液がたまる病態のことです。古くなった血液が、
あたかもチョコレートを溶かしたように見えるので、「卵巣チョコレートのう(嚢)胞」と呼ばれているそう。
かわいい名前と裏腹に、あまりかわいくない病気ですね・・・。
病気の名前にお菓子の名前が付くなんて、最初は珍しいな、と思いましたが、国際的にも「Chocolate cyst」で通じます。
チョコレートのう胞は、その血液がたまるため、卵巣が腫大します。チョコレートのう胞は内膜症ですから、
癒着を多かれ少なかれ伴うことが多いです。チョコレートのう胞は、周りの卵管、子宮、骨盤壁、腸管に癒着していることが多いので、
茎捻転(卵巣の付け根の部分を「茎」としてのう胞が回転・捻転すること)はほとんど起こしません。
しかし、チョコレートのう胞が出来ることによる圧迫された痛みや周囲の癒着による痛み、茎捻転ではなく破裂する可能性、
チョコレートのう胞があると排卵される卵子の質が低下する可能性、わずかながらもチョコレートのう胞のがん化も可能性があり、チョコレートのう胞は治療の対象となることが多いです。
治療の適応は、症状と大きさによります。
痛みがある場合、まずは鎮痛剤を使いますが、鎮痛剤が効かなければ、内膜症に対する治療の適応です。
不妊症の場合、卵巣チョコレートのう胞があればすぐに、または大きさがおおむね5cmくらいを超えた場合に治療の適応となります。
手術療法では卵巣機能が低下(老化)してしまうことがあり、手術を受ける前には十分に検討しなければなりません。
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