桜井 明弘 あなたが33歳を過ぎて妊娠できない44の理由

子宮頸がん

今話題となっている「代理出産」。

例えば、子宮頸がんで手術、子宮を失うものの、卵巣が残される場合があります。

また、生まれつき子宮が作られない病気もありますが、この場合も卵巣はきちんと作られ、機能しています。

今回は受精卵が着床する子宮内膜が薄いため、妊娠できず、代理出産に踏み切ったとのことです。

おさらいですが、卵巣から卵子が、そして精子と受精した受精卵が育つのが子宮です。

その子宮がない場合、体外受精の技術を応用して卵巣から卵子を採取し、ご主人の精子と受精させ、他人の子宮に受精卵を移植して、自分の代わりに産んでもらう、これが代理出産です。

現在の体外受精の技術では、ご自身の子宮に胚移植するのと、他人に胚移植するのに大きな差は無く、治療法としてはほぼ確立している、と言っても過言ではありません。

しかし、解決されていないのが「倫理的」な問題で、例えば代理出産してくれる方(代理母)への補償や産まれてきたお子さんの戸籍の問題があります。

いかに大金を支払ったとしても、代理母の身体の負担は小さくなく、日本では妊婦さんが亡くなる周産期死亡は大変少ないですが、周産期医療の整わない諸外国では妊娠や出産時に亡くなるケースもあります。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの合併症では、産後の後遺症が出る場合もあります。こういったことを踏まえて謝礼が支払われることになるのですが、実際に出産する方の負担はとても大きいと思われます。

日本の民法では、産まれてきたお子さんの母親は、実際に産んだ女性とされています。民法が制定された明治の時代には、とてもじゃないけど代理出産など想定されるわけもなく、そのまま現代も使われています。

そこで超党派の議員さんたちが、代理出産や卵子提供など、現代の生殖医療に即した法案制定に動き出していますが、なかなか理解も得られず、進んでいるようには見えません。

そもそも、日本国の法律ですから、当事者ではない、全ての国民を含めた活発な議論が必要ですが、皆さんの周囲でもほとんど話題になることなどありませんよね。

正解のない問題、しかし、現実に困ってらっしゃる方たちがいて、治療法も確立している、そんな現状で、議論されなければ進まないのです。

一時の話題ではなく、自分だったら代理出産をお願いするか、自分が代理出産してあげられるか、是非一度、男性にも考えて頂きたい問題なのです。
高度生殖医療を巡る話題にこれまでも触れてきました。

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桜井 明弘

桜井 明弘産婦人科クリニックさくら 院長

投稿者プロフィール

2007年4月に横浜市青葉区に産婦人科クリニックさくらを開業、地域の女性のライフサポートを信条とした診療と、体外受精など高度生殖医療も行う不妊治療を柱にしてきました。

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