桜井 明弘 あなたが33歳を過ぎて妊娠できない44の理由

妊娠とクスリ 〜妊娠したら薬は飲めない?〜

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妊娠中の薬の服用に際しては、必ず医師の処方を受けてから服用すること、これにつきます。

家にあったから、残ってたから、という判断で服用してはいけません。

 

そして必要な薬を最低限、最低期間服用、が原則です。

これには、風邪薬が分かりやすいと思いますが、いわゆる総合感冒薬には、風邪の諸症状を緩和するため、様々な成分が含まれています。CMでもそう言っていますよね。

このため、不必要な薬剤も服用する可能性があり、上の原則に反します。

 

前のページでも書いたとおり、絶対に安全、と言い切れる薬はないので、不要な成分は服用しないに限ります。

また風邪薬は風邪の諸症状を緩和、です。飲んだら治った気になりますが、風邪はご自身の身体が免疫力を駆使して治るもので、風邪薬はあくまでも対症療法。症状が軽くなっても飲み続ける必要はないわけです。

なるべく少なく、なるべく短い期間で、服用して下さい。もちろん、医師が指示した一定期間服用しなければならないものもありますので、必ず医師に相談して下さい。

 

さて、それではどのような薬が妊娠中に服用することが出来るのでしょうか。

・風邪薬

解熱鎮痛剤として、アセトアミノフェン(カロナールⓇ)は唯一と言って良い妊娠中に使えるものです。

出産後の赤ちゃんや小児の解熱剤としても良く用いられます。アルピニーⓇ座薬などが有名ですが、成分は同じです。

ついでに言うとアセトアミノフェンは妊娠中にも服用でき、またアレルギー性が低いため、解熱鎮痛剤の中で最も優れたものとして認定された経緯もあります。

それでも近年安全性は100%ではない、と言う報告もあり、あくまでも必要なときに必要な期間の服用の原則は守らなければなりません。

 

・抗生物質

最も安全性が高いのはペニシリン系やセフェム系です。ペニシリン系よりもアレルギー反応が少ないセフェム系が選択されることが多いですが、クラミジアなどにはエリスロマイシン系が選択されます。

 

・外用剤

塗り薬や湿布、点眼、点耳薬などです。

これらのほとんどの外用剤は、皮膚から血管内に吸収される量は微量で、またそれが赤ちゃんに影響することはほとんどありません。

しかし、湿布に含まれる非ステロイド消炎鎮痛剤の中には妊娠の後期に赤ちゃんの動脈管と言う血管に作用する可能性があり、注意が必要です。

また点眼剤は外用薬とは言え、血管に移行することもあるため、注意が必要です。

 

・ワクチン

インフルエンザなどの不活化ワクチンは妊娠、授乳中ともに安全に接種することが出来ます。

一方で風疹や麻疹、ムンプス(おたふく)、水痘ワクチンなどの生ワクチンは胎児への影響を考え、妊娠中は接種することが出来ません。

 

・抗アレルギー剤

花粉症で使用することが最も多く、よくご質問いただきます。

詳細はこちらのブログ記事をご覧下さい

その他、使える薬剤の方が多いことは意外と知られていませんが、必ず主治医の先生と相談して処方してもらって下さい。

(初出:平成28年11月6日)
(補筆修正:平成30年3月6日)

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桜井 明弘

桜井 明弘産婦人科クリニックさくら 院長

投稿者プロフィール

2007年4月に横浜市青葉区に産婦人科クリニックさくらを開業、地域の女性のライフサポートを信条とした診療と、体外受精など高度生殖医療も行う不妊治療を柱にしてきました。

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