生理のたびに悪くなる=子宮内膜症は増えている!?
- 2016/1/23
- 医療

内膜症の特集などで、「子宮内膜症は増えている」と言うフレーズを目にします。
祖母、母世代のときには内膜症という病気の概念がなかった、もしくは乏しかったため、
実際のところ確かな数字はありませんが、「現代の女性の方が内膜症にかかりやすい人生を送っている」というのは間違いないと思われます。
「内膜症は生理のたびに悪くなる」も本当です(もちろん個人差はあります)し、
「妊娠すると内膜症がよくなる」も本当で、出産後にはほとんど全ての患者さんが、内膜症が治ったり、病変が小さくなります。
「産むと生理痛が軽くなる」とよく聞きますし、これは昔から言われてきたことなので、きっと昔から内膜症はあったのでしょう。
現代女性は上の世代の方々と比べると食生活の欧米化などで明らかに栄養状態がよく、初経年齢が早まっています。
また結婚年齢が上昇し、初産年齢が30歳を超えました。そして妊娠・出産回数は少なく、多くて3回くらい。さらに平均的な日本人の閉経年齢は52歳だそうです。
これに対し、上の世代の方々は個人差があるものの、初経が遅く、初経が始まるとまもなく結婚し、すぐに妊娠、出産。出産の後もすぐにまた妊娠、と出産回数が圧倒的に多く、また閉経が早かったです。
こう考えてくると、現代女性と上の世代の女性では、最も異なるのが生涯の月経の回数です。
「内膜症は生理のたびに悪くなる」が真であれば、現代女性のほうが内膜症にかかりやすい人生を送っている、ということになります。
他に増えている理由として、数年前にはダイオキシンなど環境ホルモンの影響があるのではないかとだいぶ騒がれました。
確かに土壌汚染など環境の悪化により病気が増えている、と言うのはわかりやすいですし、センセーショナルです。
当時はこれを単なる統計的なデータとしてだけではなく、実験的に証明すべく、各方面で研究も盛んでした。
最近あまり学会発表も目にしなくなりましたが。
現代女性に内膜症が増えている最も大きな要因は、上に挙げた、月経回数が増えたことによるためなのです。