子宮内膜症のキーワードは「炎症」と「癒着」
- 2016/1/22
- 医療

子宮内膜症によって引き起こされる病態の主なキーワードは「炎症」と「癒着」です。
内膜症は細菌の感染を起こしているわけではありませんが、あたかも慢性炎症のごとく、病変の進行と沈静化が繰り返されています。
「炎症」の起こった組織はやがて「癒着」を形成します。
「炎症」「癒着」ともに、疼痛(痛み)の原因となります。
詳しくは「あの日の痛み。もしかして内膜症?」を見てくださいね。
子宮や卵巣の周囲で一番痛みに対して敏感な組織は腹膜です。内膜症の「炎症」的変化によっても、
形成された「癒着」によっても、腹膜は痛みを感じます。
卵巣にチョコレートのう胞が発生している場合、ほとんどの方で、卵巣周囲の癒着、ことに骨盤の壁にあたる腹膜への癒着が見られます。
さらに卵管との間や子宮の後壁、直腸など腸管との間にも癒着を形成します。
とくに腹膜、子宮後壁、腸管との癒着は痛みが強いようです。
「癒着」はこのように痛みを生じるほか、その臓器の機能を損ねてしまいます。
例えば卵管が癒着していると、不妊の原因となります。卵管は卵子を取り込み、精子を通し、受精卵を作る場であり、さらに受精卵を子宮に送る役割を担う、妊娠成立のためにとても大切な臓器だからです。
すなわち、子宮内膜症の主な症状である「疼痛」と「不妊」はすなわち「炎症」と「癒着」によって引き起こされている、といえます。
チョコレートのう胞って・・・・なんだか気になるネーミングですね。これについてはまたの機会に。