
9月3日(日)に開催される「女性のQOLを考える」研究会では現代日本女性の「やせ」の健康問題を取り上げます。
このテーマを取り上げるにあたっての代表理事、桜井明弘の思いをお伝えしたいと思います
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やせは、女性にとって、月経不順や無月経の原因となります。神経因性食思不振症や体重減少性無月経という疾患がありますが、とても多くの女性がその現実に直面しています。
無月経のため不妊症の原因にもなりますが、排卵できても卵質が不良なため、妊娠率が低いです。
妊娠が成立した後も、胎児発育不全の問題が生じます。妊娠週数に比して児の発育が悪い状態で、
実際に赤ちゃんの出生体重は40年前に比して減少し、現代では3,000グラムを下回っています。
人生を開始する期間である胎生期、出生時の体重が小さいとは、先進国の現実として見過ごしてはいけない将来を見越した課題です。
さらに問題は出生した児の将来にも及びます。胎内での栄養不足は、成人して後、生活習慣病を引き起こす成人病胎児起源説(DOHaD)が知られるようになってきました。
これらの問題点を順天堂大学小児科准教授の東海林宏道先生にご講演頂きます。
さて、女性たちは実際に「やせ」にこだわっているのか。
女性たちは、「ダイエットはしていない」「特にやせたいとは思わない」と答えます。
しかし質問を変えると、「太らないようにしている」「太りたくはない」。
これは必要カロリーや栄養素を制限する生活習慣を招いているのです。
では本当に太っていることが悪く、やせが美しいのか。
だれが、いつ規定したのでしょうか。
現代のやせ願望は、歴史的には浅いものの、やせブームが文化化し、深層心理と生活習慣に深く刻まれてしまっているのでしょう。
これには美しい女性の典型と我々が思い込んでいる女優やタレント、モデルの体型がやせであることと切り離せないと思います。
すでに欧州ではやせているモデルはファッションショーや広告で採用されることが禁止されており、彼女たちのサブリミナルな効果が問題視されています。
現役の薬剤師であり、グラビアアイドルである松村加南子先生には、医療者として、この業界の実態と一般女性への影響を切り込んで語って頂きます。
ではやせた女性たちはどのように体型の問題を克服すべきでしょうか。
昨年の研究会でも、若い女性たちの運動習慣の欠如が問題視されました。
小児期から、またハイティーンの頃からの運動習慣が乏しいため、
基礎的な筋肉が形成されていない、
高齢者の健康で問題となるサルコペニアが、
若い女性たちにも忍び寄っている、
この点に関して、理学療法士の新田智裕先生に、若年者の筋肉形成、トレーニング、栄養の面から語って頂きます。
もう一度、女性の適正な体重、体型を検証し、一人でも多くの女性の健康に寄与し、将来産まれてくる子ども達の健康と幸せを一緒に考えましょう。