子宮移植の場合、当然ドナーの女性とレシピエントの女性がそれぞれ手術を受けなければならず、当然臓器移植によるリスクなどの安全性、またドナーの身体を傷つける倫理的な問題も指摘されています。
代理出産と子宮移植のメリットは、ともに子宮のない女性が赤ちゃんに恵まれる、ということですが、他のメリットとデメリットを挙げると、
<<代理出産>>
・妊娠経験のある健康な女性が代理母となることが多く、出産の安全性が比較的高い。
・とは言え、100%安全で母体に負担のかからない妊娠はなく、代理母の健康を損ねる可能性がある。
・日本では出生した女性が母である、と民法が定めており、代理出産を依頼した夫婦は遺伝的な両親であるにもかかわらず、法的には養子縁組をした養親と言うことになる。
・代理母には報酬が支払われるが、多くは途上国の貧困な女性に依頼されることが多く、彼女たちの健康をお金で買うことにもなり倫理的な問題点が大きい。
・代理母は遺伝的には自分の子どもではないにもかかわらず、9ヶ月の妊娠期間を通じ、お腹の赤ちゃんに愛着を感じ、出産の苦しみや喜びを通して、分娩後に出産した赤ちゃんを自分の子どもとして手放したくなくなる。女性は妊娠出産を通して、母性が芽生える、当たり前のことだが代理出産にとって大きな問題で、日本の民法では依頼者は子どもを受け取ることが出来ない。
<<子宮移植>>
・実際に移植された自分の子宮、お腹で赤ちゃんが育ち、恐らくは帝王切開となる可能性が高いが、分娩することが出来、代理出産を依頼して産まれてきた赤ちゃんを抱くのとは明らかに母性の形成が異なる。
・ドナーとなる女性は、病気でないにもかかわらず、子宮摘出する手術を受けなければならず、しかもそれが肝臓や肺、骨髄など、移植されるレシピエントの生命に危険が及んでいる状態ではなく、赤ちゃんを産みたい、と言ういわば「欲望」を満たすために行われる。
・レシピエントに移植された子宮は、他の臓器移植と同様、通常拒絶反応があるため、レシピエントは免疫抑制剤の投与を受けなければならず、この治療が簡単でないのに加え、生着した子宮が赤ちゃんを育む機能がどれくらい見込まれるのか、など、決して簡単な治療ではなく、これを医学的、経済的に受け入れられる患者さんがどれくらいいるのか分からない。
・極端な例であるが、移植された子宮が、将来子宮頚がんなどの悪性腫瘍が生じる可能性もある。子宮筋腫などの良性疾患も含めてドナーは全て受け入れなければならない。
など、沢山の問題点があり、これから実際に行われるようになるとさらに多くの問題が生じる恐れもあります。
日本国内でもガイドライン作りが進められていると聞きますが、多くの識者、国民の声を吸い上げて、一人でも多くの方が納得し、幸せな女性が増えるよう、お願いしたいと思っています。