桜井 明弘 あなたが33歳を過ぎて妊娠できない44の理由

体外受精をめぐる最近の報道から 〜生殖医療の逸脱〜

Pocket

 

・「代理出産:ダウン症児引き取り拒否 国際ビジネス野放し」

 

次は豪州のカップルが、タイの女性に代理出産を依頼し、双子の赤ちゃんが出生したものの、健康な一人の赤ちゃんは連れて帰り、もう一人はダウン症のため、引き取りを拒否した、というものです。

 

4a5ef323ec949cb81bc7e95ffde43172_s

 

豪州でも国内では代理出産が法的に規制されており、代理出産でないと赤ちゃんが出来ないカップルは、タイやインドなどで代理出産を行っているようです。

 

今回は、妊娠中に赤ちゃんの異常が疑われ、中絶を勧められたものの、代理妊娠したタイ人の女性がそれを拒否した、など、多くの未確認報道がなされていますが、この問題、単刀直入に、現在の生殖ビジネスが悪い言葉で言えば横行し、それをコントロールできなくなっている実状が表されていると思います。

 

ちなみに、タイで代理出産をするカップルが増えていますが、タイ医師会では、代理出産を禁じているそうです。

 

 

そして、あってはならない、

・「体外受精で他人の双子を出産、『私たちもつらい』 生みの親」

 

医療では、他人の自己保存血液を輸血したり、本来治療目的ではない手術、例えば病気のない乳房切除など、希に医療ミスが報じられます。

 

不妊治療では、人工授精で異なるご主人の精子を子宮内に注入したり、体外受精で得られた受精卵を子宮に胚移植する際に、他人の受精卵を子宮に戻してしまう医療ミスの可能性もあります。

 

日本でも5年前に、香川県で受精卵取り違え事件があり、話題となりました。

当院で治療を行っている方からも、「大丈夫ですよね?」と不安の声も聞かれました。

 

当院では、扱っている治療の中でも、もちろんどのようなミスも許されず、撲滅するためのシステム作りを常に考えていますが、中でも「配偶子、胚の取り違え」は最も重大なミスであり、取り返しの付かないことであると、スタッフ一同認識しています。

思い込みによるミスを防ぐため、操作の度にダブルチェックがあり、必ず2人以上のスタッフがその都度目を通します。

また、直接患者さんに説明し、患者さんにもチェックに加わってもらっています。

 

今回の事件では、妊娠中に発覚し、出産は無事に終わったようですが、間違えられた二組のカップルの心情は、いかばかりか。

当事者であったら、と思うと、その悲しみはとても深く、きっと想像を絶するものでしょう。

 

取り違えはあってはならない一方で、どんなに努力、工夫してもミスは0にはならない、それでも0を目指さなければ、事故を防ぐことは出来ないのです。

 

固定ページ:
1

2

3
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

アーカイブ




おすすめサプリはこちら↓

メルマガ登録

ページ上部へ戻る